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健康的な身体に大切な3大栄養素の役割

5大栄養素のうち、タンパク質、脂質、炭水化物を3大栄養素といいます。3大栄養素の共通点は、熱やエネルギーとなることです。

栄養素として主要な役割を担っている3大栄養素について説明します。

タンパク質の特徴

健康的な身体に大切な3大栄養素の役割

タンパク質は、アミノ酸が結合した化合物で、骨格、筋肉、血液、毛髪、皮膚、爪、ホルモンなどを構成する主要成分です。アミノ酸は、全部で20種類あり、組み合わせによってさまざまなタンパク質が形成されています。

 

アミノ酸の中には、体内で合成できないため、直接食事から摂らなければならないものもあります。体内では合成できないものを必須アミノ酸といいます。必須アミノ酸には、次の9種類(成人は8種類)があります。

・イソロイシン

・ロイシン

・リジン

・メチオニン

・フェニールアラニン

・スレオニン

・トリプトファン

・バリン

・ヒスチジン(成人になると必要に応じて体内で合成されるようになります。)

 

タンパク質が不足すると、血液の成分である赤血球中のヘモグロビンが不足することで貧血を起こしたり、病気にかかりやすくなるほか、成長期では十分な成長ができなくなる可能性もあります。

 

タンパク質は、肉類、魚類、牛乳、卵などの動物性食品や、大豆などの植物性食品に多く含まれています。

脂質の特徴

健康的な身体に大切な3大栄養素の役割

脂質は身体の中で細胞膜の構成成分や血液成分となり、ホルモンなどを作るには欠かせない成分ですが、摂りすぎると摂取エネルギーの過剰から肥満を招いたり、動脈硬化などの原因となったりします。

 

ダイエットの敵のように思っている人もいますが、脂質は身体にとって必要な栄養素です。摂らないのではなく摂りすぎないということが大切です。

 

脂質は、バター、ラードといった動物性脂肪、大豆油、菜種油、オリーブ油といった植物性脂肪に多く含まれています。このほか、穀類、豆類、牛乳、卵にも含まれています。

 

脂質が不足すると、エネルギーの不足から疲労しやすくなったり、ウイルスや細菌から身体を守る「免疫力」が低下することで病気にかかりやすくなったり、脂溶性ビタミンが吸収されにくくなることで身体の調子が悪くなる可能性があります。

炭水化物(糖質+食物繊維)の特徴

健康的な身体に大切な3大栄養素の役割

糖質の特徴

私たちが普段最も多く摂取している栄養素が、デンプンや砂糖などの糖質です。日本人は、全エネルギーの60%弱を糖質から摂取しているため、最も大切な栄養素となっています。

 

糖質は、小腸から出る消化酵素によって分解され、ブドウ糖などに変化して吸収され、エネルギー源として使われます。摂取された糖質は、ブドウ糖が多数結合したグリコーゲンとして貯蔵されます。グリコーゲンは、身体を動かすためのエネルギー源となったり、臓器などへのブドウ糖の供給にかかわる働きをします。

 

なお、摂りすぎた糖質は体内に脂肪として貯蔵されます。糖質は米、パン、果物などに多く含まれています。

 

食物繊維の特徴

食物繊維は人間の消化液では消化されない難消化性の成分ですが、糖質の吸収を遅らせたり、コレステロールの排出を促進したりします。また、食事の分量を増やし満足感を与える効果もあります。さらに便通を良くし、発がん性物質の力をやわらげる働きもあることから生活習慣病などの病気の予防効果でも注目されています。

 

食物繊維は大きく次の2つに分けられます。

①水溶性食物繊維:水に溶け、食品の水分を抱き込んでゲル化(水を含んで凝固し、半固形体の状態になること)する性質があります。血中コレステロールを低下させ、糖質の吸収を抑える働きがあります。水溶性食物繊維を多く含む食べ物には、熟した果実、植物の種子、葉、(春菊など)、根(エシャレットなど)といったものがあります。

 

②不溶性食物繊維:水に溶けず、水分を吸収して膨らみます。未消化の食物が体内を通過する時間を短縮し、便秘の予防や改善の働きがあります。不溶性食物繊維を多く含む食べ物には、野菜、穀類、豆類、根(ゴボウなど)、菌類(キノコ類)といったものがあります。

身体と食物繊維

健康的な身体に大切な3大栄養素の役割

(1)便秘の原因

便秘とは、腸に大便がたまって排泄できない症状のことです。胃腸の働きが活発であれば、身体の老廃物をスムーズに体外へ出すことができます。胃腸は筋肉の運動(蠕動運動)動くため、筋肉の働きが衰えると、消化不良となったり、便秘の症状を引き起こします。

 

子どものときは便秘と縁のない人がほとんどです。便秘は、内臓下垂の人や、老人、運動不足の人に多く見られます。また、排便を我慢したり、水分や食物繊維の摂り方が少ないことも原因となります。

なお、食事内容が欧米化したことも、便秘の人が増えている原因です。

 

(2)便秘による影響

便秘は、腸内の腐敗細菌に有害物質や有害菌を発生させます。その結果、肌荒れや吹き出物といった症状が現れます。さらに、肩こり、腰痛、めまい、頭痛のほか、痔になったり痔が悪化したりします。また、精神的にも、いらいらしたり、気力が低下したり、鬱な気持ちになることがあります。

 

便秘は、免疫力の低下などを誘発させるだけでなく、発がん性物質を発生させ、大腸がんを引き起こすおそれがあります。

 

食物繊維には、有害物質や有害菌の発生を抑制したり、減少させる作用があります。食事の中に、食物繊維が多い玄米やライ麦パン、野菜(根菜)、海藻などを上手に摂り入れ、排便しやすくし、腸内をすっきりさせましょう。

なお、腸内環境を整えるためには、ビフィズス菌も効果的です。