1.呼吸で痩せる?
呼吸は新陳代謝を活発にします。1日中意識的に深く呼吸することで、消費カロリーが約600kcalも増加することがあるという調査結果があります。
アメリカの専門家によると、深い呼吸をしている人は浅い呼吸をしている人に比べて約20%も多くのカロリーを消費しているそうです。
つまり、深い呼吸をしている場合は運動量を増やさなくてもカロリーを消費でき、痩せやすくなるということです。
また深呼吸をすることで常に脳へ十分な量の酸素が運搬され、ストレスが解消し精神的にもスッキリします。
さらに肺をより大きく膨らませることで、高強度インターバルトレーニングやランニングを行う際のパフォーマンスを向上させることができ、より多くのカロリーを消費することができます。
忙しい毎日を送っている私たちは、より賢く働く方法を探しています。
そして、より簡単に健康的でいられる方法も探しています。一日中正しい呼吸をすることは最も簡単で賢い方法といえるでしょう。
2.運動時の呼吸は鼻か口か?
人が生きていくためには、呼吸を行い、酸素を取り込む必要があります。
運動中やアクティブに体を動かすときなどはより多くの酸素を必要とします。
酸素を取り込むという観点では、「鼻で呼吸する」ことも「口で呼吸する」ことも違いはありません。
どちらも酸素が肺に入って、その酸素を筋肉に送ることで、体を働かしています。
体を動かす量が増えて酸素の必要量が増えるときには、呼吸法はさらに重要になります。
まず息を吸うことにより胸腔の容積が広がります。胸腔の容積が大きくなることで、肺の中の気圧と比較して低くなります。
そして、空気は常に圧力の高いところから低いところへ流れるので、気道を通って肺(肺胞)へと入っていきます。
私たちが身体活動を行っているときは、じっとしているときより多くの筋肉が使われます。
しかし、呼吸のリズムが安定しないと、活動に使われる筋肉もリズムを保って動かすことが難しくなるため、疲労感が増します。
例えば、試合の時、苦しくなると呼吸をすることに精一杯になり、プレーに集中できなくなるといったことです。
呼吸と脳は深く関わっています。
不規則な呼吸を行うと、脳内に不要な思考が生じてしまい、パフォーマンスに影響を与えます。
また口で呼吸をすることで、記憶を思い出したり、感情的な判断をしたりするといった悪影響を及ぼします。
さらに、口だけで呼吸をすることは、特定の活動に大きな影響を与えます。
例えば、リズミカルなパフォーマンスが必要なダンサーや格闘家、体操選手などは、口だけで呼吸をするとパフォーマンスが低下することがわかっています。
ダンサーや格闘家などは、瞬間的に判断を下さなければいけません。体の動きを導くのは脳であるため、瞬間的に重要な決定を下す必要がある複雑な活動においては、脳の中心部を最も効果的に利用するリズミカルな呼吸を行うのが良いでしょう。
ちょっとした運動を実施する分には、鼻と口の呼吸の違いによる影響をあまり感じにくいでしょう。
例えば口で呼吸をしてジョギングする分には、パフォーマンスに大きな違いはあまり見られないかもしれませんが、レースにおいて戦略を立てる必要がある場合は、違いを確実に感じることでしょう。
体と心は体の生理機能によってつながっています。その一端を担っているのが、「呼吸」です。無意識に行うものだからこそ、改めてその重要性を見直していきましょう。
3.呼吸には「正しい方法」がある
呼吸は生まれた瞬間からしているので、日常生活で「正しい呼吸」を意識することはほとんどないでしょう。
しかし、呼吸に正しい方法がないというわけではありません。特にトレーニング時の呼吸のリズムは、競技パフォーマンスを大きく左右します。
呼吸法にはいくつかの種類があります。
運動時にはゆっくりと深く鼻から吸い、口から吐くのが最適な呼吸法です。
運動強度が上がり筋肉の疲労感が高まると、より多くの酸素が必要となるので、呼吸もより深くします。
口呼吸や鼻呼吸の差については、頻繫に議論がなされています。
これまで、肺に十分な空気が入り筋肉に十分な酸素が供給されるのであれば、どちらの呼吸法でも良いとされていました。
しかし近年の研究によると、極度の肉体的負荷をかけている場合には最適な呼吸法があることがわかっています。
研究によると、鼻から行う呼吸によって神経回路が脳内で活性化され、口から行う呼吸は神経系路が活性化されにくいことがわかりました。
また、鼻からの呼吸により感情をコントロールすることができ、肉体的にもより良い反応が起こることがわかっています。
物理的な観点からも、鼻から深く息を吸い込み口から吐き出すことは、無駄のない最適化された呼吸の過程といえます。